どうも。投資家スケーターです。
「1章トレード戦略」もいよいよ終盤です。
チャート上の値動き以外の部分から読み取る「優位性」として、
”通貨ペアの「相関関係」”について学んでいきましょう。
「通貨ペア」というものの原理に沿ったこの優位性を自分のトレード戦略に取り入れることによって、
あなたは、今まで学んできた概念や視点からとは、
また違った方向性の「優位性」を手にすることが出来るようになります。
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「相関関係」をスムーズに理解するため
まずは「通貨ペア」というものの”4つの特徴”を考える
私たちFXトレーダーが取引する対象は「通貨ペア」というものです。
この「通貨ペア」とは、ある国の通貨とある国の通貨の交換比率を表したもの。
つまりこれは、通貨と通貨の”パワーバランス”を表しているものと考えることが出来ます。
なので、例えば「ドル/円」であれば、
決して、「ドル/円」というものがドン!と単体で存在するのではなく、
「米ドル」と「日本円」の綱引きのようなものであるという事が、まずひとつ。
次に、
「ドル/円」を買い!とやったならば、
それは”ドルを買い”、”円を売る”という事になるということ。
「ユーロ/ドル」を買い!とやれば、
”ユーロを買い”、”ドルを売る”という事になり、
「ポンド/ドル」を買い!とやれば、
”ポンドを買い”、”ドルを売る”となるということ。
とにかく、
「○○/△△」を買い!とやれば、
”○○を買い”、”△△を売る”となり、
「○○/△△」を売り!とやれば、
”○○を売り”、”△△を買い”となるということ。
なので、
もし仮に、「らんま1/2」という通貨ペアがあったとして、これを買い!とやったとするならば、
それは”らんま1を買い”、”2を売り”とやったことになるという事が、2つめ。
そして3つめ。
「通貨ペア」は、大きくは「ストレート通貨」と「クロス通貨」という2種類に分けることが出来るということ。
「ストレート通貨」とは、
世界の基軸通貨「ドル」を交換相手とした「通貨ぺア」全般のことを言い、
ドル/円、ユーロ/ドル、ポンド/ドル、ドル/スイスなどなど・・・。
とにかく、「ドル」が「/」の前か後ろに居ればそれは「ストレート通貨」であるということです。
一方、「クロス通貨」とは、
「/」の前にも後ろにも「ドル」が居ない通貨ペアのことを言います。
そして、世界的にも為替取引においても、主役的存在の”米ドル”が不在の「クロス通貨」は、
ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円、スイスフラン/円などは「クロス円」と呼ばれ、
ユーロ/円、ユーロ/ポンド、ユーロ/豪ドル、ユーロ/スイスフランなどは「クロスユーロ」と呼ばれ
豪ドル/円、ポンド/豪ドル、ユーロ/豪ドル、スイスフラン/豪ドルなどは「豪ドルクロス」と呼ばれます。
ここで、鋭い人はお気づきになられたかもしれませんが、
ユーロ/円なんかは、時には「クロス円」と呼ばれ、時には「クロスユーロ」と呼ばれています。
ユーロ/豪ドルも「クロスユーロ」と呼ばれたり、「豪ドルクロス」と呼ばれたり。
「クロス○○」の○○に選ばれる通貨は、何を基準に選んでいるかは謎ですが、
きっとそれは取引する人がどの国に住んでいるかというところに引っ張られて決めているのではないかと思います。
私たちは日本人なので、ユーロ/円を「クロス円」とすることが多いですが、
きっと欧州の人は、ユーロ/円を「ユーロクロス」としていることが多いはず。
しかし、呼び方なんて別にどうでもいいのです。
大事なのは、
例えば「ユーロ/円」を買い!とやったとしても、
「クロス通貨」の場合は、”ユーロを買い”、”円を売る”とはならず、
”円を売り”、”ドルを買った”後に、
買ったばかりの”ドルを売り”、”ユーロを買う”
ということになるということ。
となれば、「ユーロ/円」を売り!とやれば、
”ユーロを売り”、”ドルを買った”後に、
買ったばっかりの”ドルを売り”、”円を買う”
という事になるということです。
つまりは、ユーロ/円=ユーロ/ドル×ドル/円であるという事。
これが「クロス通貨」の最大の特徴。
つまりは、「クロス通貨」は、
ドルストレードの通貨ペアを組み合わせて作られた通貨ペアということです。
ということは、もはやどの通貨ペアを取引しようが、
実は「ドル」が1枚噛んでいるということで、
やっぱり主役はドルだったということです。
そして、最後の4つめ。
どの通貨ペアも、基本的には需給(売りたい人と買いたい人のバランス)で動いていますが、
その他、ファンダメンタル、実体経済、政府やファンドの思惑、地震などの災害による地学的リスクなど、
さまざまな要因が複雑に絡み合って動いているということ。
なので、単に「ドル/円」と言っても、それは、
米国側のアレコレ×日本側のアレコレが、
複雑に絡み合ってレートが決まっているということです。
となれば、
先の「クロス通貨」なんてのは、一体どれだけの国のアレコレが絡んでいるのでしょうか?
先ほど例に挙げたユーロ/円で言えば、
欧州の国々のアレコレ×米国のアレコレ×日本のアレコレによって、
レートが決まっているわけで、
しかも、
ひとえに欧州って言っても、
その中にはドイツ、フランス、オランダ、スペイン、イタリア、ベルギー、ポルトガルなどなど、
計19カ国のアレコレが絡み合っているわけで、
もうなにが何だか分からないくらいの要因が、
通貨ペアのレートに影響を与えてきているワケなんですが、
その要因をひとつひとつ追っていく必要なんかまったくなく、
これに関して、私たちトレーダーが理解しておかなければならないことは、たった2つ。
全ての通貨ペアは繋がっている。
そして、
チャールズ・ダウさんの名言(というか、ダウ理論)の
平均はすべての事象を織り込む。
この2つ。
つまり、
各国々のアレコレが複雑に絡み合っていようが、仲良しこよししていようが、ケンカしていようが、
それぞれの通貨ペアはお互いに影響を与え合っていて、
なおかつ、それはチャートの価格に反映されているんだよ、
ということが分かっていれば、それでOKだということです。
以上、4点が「通貨ペア」というものの特徴であり、
これを理解しておけば「通貨ペアの相関関係」を理解する準備は万端です。
え?何、もう一回言って。
はい。
ここまでの説明のせいで、「相関関係」をスムーズに理解するどころか、逆に、
「よ、よーし!こうなったら次の期末テストでは「物理」は捨てて、
「国語」と「数学」にすべてを賭けよう!」
みたいな気持ちに襲われた方も、そこをなんとか堪えてもう少しだけ先を読み進めて下さい。
ここまでの話の流れで、
既に若干なんだかややこしそうな雰囲気を醸し出してしまっている「相関関係」ですが、
冷静になってよくよく考えれば、今言ったことなんかは全然問題なく理解できる基礎的なことなハズですし、
その上、私たちがこの「相関関係」というものを使って何をするのか?という部分は、実はかなりシンプルなのです。
それが何かと言うと、
①”強い通貨”と”弱い通貨”を炙り出す
②それぞれの通貨ペアは、どのくらいお互い影響を与えあっているかを知る
この2つです。
この2点をトレード戦略に組み込むことによって、
今までの1枚のチャートの情報だけで戦略を立てていた時よりも、
より立体的に繋がったところにある優位性を元に戦って行くことが出来ます。
なので今から、今回は「①”強い通貨”と”弱い通貨”を炙り出す」にフォーカスして、
どのようにして”強い通貨”と”弱い通貨”を炙り出すのか、
そして、それぞれをどのようにしてトレード戦略に落とし込むのか、と言うところを解説していきます。
”強い通貨”と”弱い通貨”を炙り出す方法
「通貨ペア」とは、”ある国の通貨”と”ある国の通貨”の綱引きである。
であれば、
”綱を引く力が強い通貨”と”綱を引く力が弱い通貨”が組み合わさっている通貨ペアを選んで、
”綱を引く力が強い通貨”を買う、もしくは、”綱を引く力が弱い通貨”を売る形でのポジションを建てれば、
勝ちやすくなることは明白です。
というか、
「強い通貨の方を買う」、「弱い通貨を売る」ということを根拠のある自信と共に決めることが出来るわけで、
つまりこれは狙う方向が決まるという事であり、
ここが決まってしまえば戦いやすいったらありゃしないわけです。
で、
その気になる”「強い通貨」と「弱い通貨」の見分け方”ですが、
これはさっきの”通貨ペアの4つの特徴”の、
②「○○/△△」という通貨ペアの場合、
「買い」であれば”○○を買い”、”△△を売り”、
「売り」であれば”○○を売り”、”△△を買い”ということになる
を利用します。
この視点を持ちながら複数の通貨ペアを見ていけば、
おのずと「どの通貨が強くて、どの通貨が弱いか」ということを炙り出すことが出来ます。
例えば、
USD/JPY
EUR/USD
GBP/USD
EUR/JPY
GBP/JPY
EUR/GBP
の6通貨ペア。
これっていうのは、
USD、JPY、EUR、GBP
の4つの通貨を組み合わせた通貨ペアたちなわけです。
で、
これら通貨ペアの長期の方向性を確認していきます。
(あくまで「方向性」だけを確認するので、確認に使う日足でも4H足でもどちらでもよいです。
ただ、週足、月足レベルの方向性だとデイトレードに落とし込むには少し時間間隔が遠い気がします。)
確認したところ、
USD/JPY ↑
EUR/USD ↓
GBP/USD ↓
EUR/JPY 揉み合い
GBP/JPY ↓
EUR/GBP ↓
という状況だったとします。
これを確認した上で、
各通貨ペアでの”綱引きの勝敗”をひとつづつ見ていき、成績をつけていきます。
まず、「USD/JPY ↑」
これが意味するところは、
USDが買われていて、JPY売られているということです。
つまり、綱引きはUSDの勝ちとなります。
なので、USD1ポイント獲得!
お次は「EUR/USD ↓」
これはEURが売られていて、USDが買われているという事です。
というわけで、
USDまたまた1ポイント獲得で、合計2ポイント!
その次は「GBP/USD ↓」
これはGBPが売られていて、USDが買われている、ということですよね。
なんとまたまたUSD1ポイント獲得!合計3ポイント!!
で、「EUR/JPY 揉み合い」
これは綱の熾烈な引っ張り合いなので、引き分け!
よってポイント加算なし!
お次は「GBP/JPY ↓」
これはGBPが売られていて、JPYが買われています。
なので、JPY1ポイント獲得!
そして最後の「EUR/GBP ↓」
これは、EURが売られていて、GBPが買われているという事になり、
GBPが1ポイント獲得!
という感じで成績をつけていきます。
で、これを並べてみると、
USD 3ポイント
JPY 1ポイント
EUR 0ポイント
GBP 1ポイント
となりました。
よって今回は、
3ポイントのUSDが「強い通貨」で、
0ポイントのEURは「弱い通貨」だということが分かりました。
であれば、
”EUR/USDのショート”を狙っていくのが、
この場合でのベストな戦略であると考えることが出来ます。
逆に、USDを売る形でのポジションを取ることは、なかなか不利であるとも考えることが出来る。
この”事実”を「優位性のひとつ」として、
いままで「1章 トレード戦略」で学んできた戦略の立て方に、付け加えて考えて行くのです。
「優位性」は”可能性”。「根拠」は重ねれば重ねるほど強い。
というわけで、
”強い通貨”と”弱い通貨”を炙り出す方法はご理解いただけたでしょうか?
めちゃくちゃシンプルな方法だったかと思います。
言われてみれば、
「なーんだ、そんなことか」
というかもはや、
「いや、当たり前じゃん!それ!」
くらいのレベルのお話しだったかもしれません。
しかしながら、
「通貨ペア」というものの特徴を応用して考え、
その特徴を生かした今回のようなシンプル方法で狙う通貨ペアを選択する、
または、狙う方向を決めている人なんて、おそらくはほとんどいないです。
ただ、今回のこの方法っていうのは、
もう通貨ペアの根本の部分の原理を利用したものなので、かなり有効なことは間違いないわけで、
これを知ってしまった以上は、今日から必ずこの”通貨の強弱”を確認するようにして下さい。
「この視点をもっているかどうか」
今回の内容は、まさしくこの部分のみの問題なわけです。
通貨ペアというものの”繋がり”を意識して、
そこから拾える「事実」すらも、自分のトレード戦略に付け加えていくのです。
これは何度も言ってきてますが、
相場は「不確実性」に満ち溢れた世界です。
どこまでトレード技術を突き詰めたとしても、
勝率100%とかいうのは到底無理なお話しなわけで、
相場に”絶対”なんてものは無いのです。
そんな中で、自分の資金を安定的に増やしていくには、
ひとつでも多くの情報を相場から拾い上げて、
自分が狙った方向へと値が動くための優位性を積み上げていくしかありません。
トレードではよく「確率で考えろ!」なんてことが言われます。
では、
「確率で考えろ!」とは一体どのような意味なのか?
私なりにこの言葉を解釈するならば、
「相場には絶対なんてないので、
自分が狙う場所・方向性をしっかりと決めて、
その方向へレートが動いていくためのなるべく多くの「優位性」を相場の中から見出し(拾い上げて)
それらを繋げて考えようよ。
その結果、別に逆行して損切りになっても、
それは相場では仕方がないことだし、当たり前の事なんだよ。」
ということを前提として戦って行きましょう、という事だと思ってます。
「相場=不確実性=どうなるかわからない」
これを自分の中に大前提として持っておき、
その不確実性に負けないように「優位性」と言う名の”可能性”を積み重ね、
チャートから読み取れる「事実」を”根拠”として積み重ねていく。
これが、「トレードを確率で考える」ということなのではないかと私は思うのです。
やー、そう考えると、ひち面倒くさいですね~、トレードって。笑
(と、身も蓋もない事を最後の最後に言ってしまう)
しかしながら、
だからこそ、トレードで勝てている人が圧倒的に少ないのであって、
このひち面倒くさいことを当たり前のように出来る人が、
普通では考えられないくらいの収益を、
トレードという手段を使って自分自身の力で生み出していくことが出来るのです。
面倒くさいから、むしろ”やる”。
勝つために有効な手段であれば、もうなんでも”やる”。
人の行く裏に道あり、花の山。
そのくらいの根気と気概を持った人だけが、トレードで財産を築い行くことが出来るのです。
”強い通貨”と”弱い通貨”を炙り出し、
強い通貨を買い、弱い通貨を売る。
さて、
どう考えても「通貨ペア」というものの性質の本質を突いたこの方法を、
あなたは取り入れますか?
それとも、
面倒だからやめておきますか?
次へ⇒通貨ペアの「相関関係」 ~”相関関係”と”夫婦関係”と”相関係数”~